<Special Interview> ~お客様とテスト開発者の声~
問題解決力テストをいかに役立てるか?
得られる情報を有効に活用して、課題に立ち向かっていく21世紀型スキル。その新しい指標で人材の能力を測定する「問題解決力テスト」を、企業の人事戦略の中でいかに役立てていくか。その可能性について、本テストをご利用いただいたお客様と問題解決力テストの開発者である吉川厚氏にお話を伺いました。

お客様: OA機器商社
テスト開発者: 吉川 厚氏(プロフィールはこちら
吉川 厚氏

―― 問題解決力テストを実施していただいた背景をお聞かせください。

【お客様】 当社が問題解決力テストを利用してみようと思った背景は、大きく2点ありました。一つは、問題解決力が、今後より重要なスキルになっていくことへの共感です。いまや単に製品のスペックだけで差別化を図り、お客様に価値をご提供することは困難になってきています。特にB2Bマーケットでは、お客様の潜在的な課題を探り、その課題に対する解決策を提供する視点が重要になっています。そのために、問題解決力に特化したテストであることに興味を持ちました。 二つ目は、これまで実施してきたテストの結果と比べて、違いや合致点がどのように表れてくるか、ということに大きな興味を持ったことです。人材の能力を把握するための方法が適切であるかどうかも、検証する必要を感じていました。

【吉川】 以前は、問題解決力やリーダーシップといった能力は、本人が生まれつき持っているものという認識が一般的でした。しかし、今では開発できるスキルと位置付けられ、欧米では小学生のうちから育成を開始しています。そうしたユニバーサルスキルを開発していかないと、日本は教育後進国になってしまうという危機意識を、文部科学省や厚生労働省、経済産業省とも強く持つようになり、現在は指導要領にも盛り込まれて教育現場も変わり始めています。企業も自社の人材の能力を把握して、育成することの重要さを認識しているのではないでしょうか。貴社は、これまでも人材の能力を把握するためのテストを利用されてきたのですね。

【お客様】 社員の能力開発を行っていく上で、具体的にどのような教育プログラムを実施するべきなのか。それを検討する根拠として、社員個々に対する感覚的な評価ではなく、客観的な指標に基づく能力の把握が必要だと考えています。そのために、経済産業省が定義する社会人基礎力「考え抜く力」がスコアに出るテストも利用してきました。

―― テスト結果について、どのような感想をお持ちになりましたか。

【お客様】 全体的には、これまでのテスト結果とも合致しているようです。受検した社員に対する、私たち人事担当者や配属先の社員による感覚的な評価とも類似した点が見られます。これまでのテストとの大きな違いは、やはり問題解決力に特化している点ですね。実は、「考え抜く力」が低いというスコアからは、改善するために何をするべきか、具体策を講ずることが難しいという課題がありました。問題解決力テストでは、さらに詳細な指標に分類されていることから、これまでよりも具体策を検討するためのヒントが多いと感じています。

photo【吉川】 問題解決はさまざまな能力の組み合わせによって行われます。そこで、このテストでは、まず「理解」「推測」「整理」「問題解決」の四つのフェーズに分解し、さらに「問題解決」を「問題発見」「解決策立案」「結果評価」の三つの項目で評価することにしました。

【お客様】 例えば、「問題発見」を測定するためには、テスト問題としてどのような特徴があるのでしょうか。

【吉川】本テストにおける「問題発見」は、情報が0の状態から1を導き出すような、創造的な意味合いの力とは異なります。インターネット上の情報やお客様の言葉など、必要な情報は既に存在していることが前提なのです。しかし、実際のビジネスで収集される情報の中には、正しくないものや不必要なものもあります。本テストの問題文では、不必要な情報も提供することで、必要な情報を的確に判断しなければ正しい答えを導き出せないようになっています。実際のビジネスにおけるシーンをリアルに反映している点は、これまでのテストは大きく異なる特徴だと考えています。

―― 効果的な利用方法など、お客様から開発者へご質問はありますか。

【お客様】 今回、当社では、内定者の能力把握に利用させていただきました。それもあって、一つ大きな質問があります。それは、問題解決力はトレーニングによって伸ばしていける能力か、ということです。もし、先天的な能力であるなら、このテストは採用選考にこそ利用するべきと考えられるからです。

【吉川】 問題解決力テストには、「人は何歳になっても成長していける」という考え方が背景にあります。指標を詳細に分類しているのもそのためです。また、例えば、総合スコアが高く、各指標では点数のバラつきのある方。こういう方は、スコアの低い能力を成長させることで、より高い能力を発揮できることになります。この場合はわかりやすい。一方、総合スコアが低く、各指標も平均的であるという場合は、まず何から始めるか、ということを考える必要があります。

【お客様】 そういう意味では、やはり選考時に利用することが効果的かもしれませんね。私たちにとっては、評価すること自体が目的ではなく、結果にもとづいて施策を練り、実際に成長してもらうという効果を生まなければなりません。しかし、一方で、それぞれの能力に応じてプログラムをオーダーメードするような施策の実施は難しいのが実情です。

【吉川】 教育面も含めて、人材採用は企業にとって大きな投資であるということですね。ただ、問題解決力テストを選考時に利用される場合でも、どのようなスコアの人材を採用するかは、企業によって大きく異なると考えています。例えば、問題解決を一人で行わなければならないか、ということもあります。ある人材は、「問題発見」に優れていて、「解決策立案」は別の人材が行うということも考えられます。テストのスコアを単に良い悪いではなく人材の特徴と捉えると、どのような人材を採用するかは、業務がどのように分担されているか、どのような教育プログラムを実施できるかなど、企業ごとの長期的なデザインの中で判断されるべきだと思います。その点を踏まえて、採用選考に利用していただくことが効果的だと考えています。

【お客様】 ある指標についてスコアが低いとしても、当社にその能力を伸ばす準備があれば、採用できるわけですね。当社が、人材活用や人材育成についていかにデザインするか、人事戦略のPDCAをいかに回していくかによって、問題解決力テストの利用の仕方や、効果が変わっていくと感じました。私たち人事部門のミッションについてハードルが大きくなったように感じていますが、採用とその後の人材育成環境をデザインする上で、大きなヒントを得たように思います。


吉川 厚 プロフィール

<略歴>
慶應義塾大学大学院 理工学研究科 計測工学専攻 博士課程修了
NTT、NTTソフトウェア研究所、NTT基礎研究所、NTTコミュニケーション科学基礎研究所、NTTデータなどで研究職を歴任
東京工業大学 情報理工学院 知能情報コース 特定教授
一般財団法人日本生涯学習総合研究所 元代表理事

<官公庁での主な委員歴>
●厚生労働省
・職業能力開発局 職業能力開発の今後の在り方に関する研究会 委員
●経済産業省
・草の根eラーニング・システム整備事業 eラーニングビジネスモデル研究会 委員
●文部科学省
・中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 算数・数学専門部会 委員



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